胡蝶蘭ギフトでは、ラッピングやリボンの色によって、ギフト全体の印象、格調高さ、そして込められたメッセージが変わってきます。
ギフトラッピングは、ただ美しく装飾すればいいというわけではなく、お祝いやお供えといった状況(TPO)と、贈る相手に配慮した適切な選択が重要です。
この記事では、胡蝶蘭ラッピングのシーン別の色の選び方とマナー、そして赤色ラッピングの注意点について詳しく解説していきます。
胡蝶蘭ラッピングの基本
ラッピングの役割
ラッピングは、胡蝶蘭をより美しく見せ、贈り物としての華やかさや高級感を引き立てる効果があります。特に開店祝いや就任祝いなど、人目に触れる場面では、印象をよくする重要な要素となります。
また、使用する色を通じて、お祝いの気持ちやお悔やみの心情など、贈り主の想いをさりげなく伝える手段にもなります。
例えば、赤や金は「お祝い」の気持ち、白や淡い色は「感謝」や「お悔やみ」など、シーンにふさわしいラッピングを選ぶことで、心のこもった贈り物にすることができます。
基本は販売店におまかせでOK
多くの胡蝶蘭販売店では、贈るシーンに合わせたラッピングサービスを提供しています。
色やスタイルに迷った場合は、「開店祝い用に」「お供え用に」と用途を伝えれば、専門のスタッフが適切に選んでくれるので、遠慮なく相談しましょう。
【お祝いシーン別】ラッピングの色選び
お祝いの気持ちを最大限に表現するために、胡蝶蘭のラッピングの色選びは非常に重要です。シーンに合った最適な色を選びましょう。
開店・開業祝いのラッピング
新しい門出を祝し、事業の成功と繁栄を願う気持ちを込めます。多くの人の目に触れることも考慮し、明るく目を引く華やかなラッピングが基本です。
- ゴールド→ 高級感、豪華さ、そして「金運アップ」を連想させ、お祝いムードを高めます。
- 黄色・オレンジ→ 明るさ、元気、活気、親しみやすさを演出します。特に飲食店や多くの人が集まるお店の開店祝いにおすすめです。「商売繁盛」のイメージにも繋がります。
- 赤→ 情熱、活力、おめでたさを表す色です。特に華やかさを重視する業界(アパレル、美容関係など)や、お祝いムードを盛り上げたい場合に選ばれます。紅白の組み合わせも縁起がいいです。ただし、一部の業種(特に木造建築、火を扱う飲食店など)においては、縁起の面で赤色ラッピングは避けたほうがいいとされることもあります。詳細は後述。
- ピンク→ 優しさ、華やかな印象を与えます。特に女性オーナーのお店や、美容・ファッション関連の開店祝いに喜ばれます。
- グリーン→ 成長、発展、癒やし、ナチュラルなイメージがあります。オーガニック系のお店や、落ち着いた雰囲気を好む相手に。
- コーポレートカラー→ 相手企業のロゴやテーマカラーがわかれば、それを取り入れると特別感が増し、喜ばれます。
新築・引越し祝い
新しい生活が豊かで快適なものになるよう願いを込めて、温かみがあるラッピングを選びましょう。
- 黄色・オレンジ→ 「明るさ」「温かさ」、そして「幸福」や「喜び」を象徴する色。新しい家での生活を応援する気持ちを表すのにぴったりです。
- グリーン→ 新芽や若葉を思わせるグリーンは、「成長」「発展」「安らぎ」「調和」を表します。ナチュラルで落ち着いた雰囲気なので、どんなインテリアにもなじみやすいです。
- パステルカラー→ 主張しすぎない柔らかな色は、インテリアと調和しやすく、「リラックス」した雰囲気や「心地よさ」があります。
昇進・就任祝いのラッピング
昇進や就任は、その方の努力と実績が認められた証。敬意と今後の活躍を願う気持ちを込めた、品格のあるラッピングを選びましょう。
- ゴールド・シルバー→ 格調高く高級感があり、ステータスを象徴します。ゴールドは華やかで温かみがあり、シルバーは知的で洗練された印象を与えます。
- 赤→ リーダーシップ、情熱、力強さを感じさせ、お祝いの気持ちをストレートに伝えます。ゴールドと組み合わせると、より一層豪華な印象になります。個人の昇進・就任祝いであれば、「火事」「赤字」の連想はそれほど気にする必要はありません。
- 白→ 清潔感と誠実さを表す白をベースに、ゴールドやシルバー、あるいは落ち着いた色合いのリボンでアクセントをつけると、品よくまとまります。
- コーポレートカラー→ 企業のカラーを取り入れると、心遣いが伝わります。
長寿祝いのラッピング
長寿のお祝いでは、年齢ごとに「縁起のいい色」が伝統的に定められています。そうした色合いをラッピングに取り入れることで、より気持ちのこもった贈り物になります。
- 還暦(60歳)= 赤→ 生まれ年の干支に戻ることから「赤ちゃんに還る」、そして「魔除けの色」から、赤がテーマカラーになっています。赤いラッピングやリボンが最適です。
- 古希(70歳)・喜寿(77歳)= 紫→ 高貴さを象徴する紫がテーマカラーです。ただし、白い胡蝶蘭に薄紫のラッピングをするとお供え感が出てしまうので、ラッピングを濃いめの紫にしたり、リボンを明るい色にしたり、花を白以外のものにしたりして、お祝いの雰囲気を出すようにしましょう。
- 傘寿(80歳)・米寿(88歳)= 黄色、金色(金茶色)→ 豊かさや輝き、実りを表す黄色や金色、またはそれに近い金茶色がテーマカラーです。
- 卒寿(90歳)= 紫→ 「卒」の略字「卆」が「九十」と読めることに由来します。テーマカラーは紫ですが、黄色や白が使われることもあります。
- 白寿(99歳)= 白→ 「百」の字から「一」を引くと「白」になることに由来し、テーマカラーも白となっています。
- 百寿・紀寿(100歳)= 白、桃色→ 特に決まった色はありませんが、白寿と同じく白と、「百」が「もも」とも読めることから、桃色が使われることが多いです。
- その他(特に決まった色がない場合)→ お祝いの気持ちが伝わる明るく華やかな色(ゴールド、ピンク、オレンジ、黄色など)を選びましょう。本人の好きな色を選ぶのも喜ばれます。

紫色でまとめた胡蝶蘭
その他のお祝いシーン別ラッピング
誕生日祝い
贈る相手の好きな色を選ぶのが一番です。
一般的には、ピンク、オレンジ、黄色などの明るい色や、パステルカラーなどが人気です。
結婚祝い・結婚記念日
愛情を表す「赤」、優しさを象徴する「ピンク」、高級感のある「ゴールド」、純粋さや新たな門出を祝う「白」が定番です。
淡いパステルカラーもロマンチックな雰囲気を演出します。
受賞・受章・当選祝い
栄誉を称える「ゴールド」、おめでたい「赤」と「白」の組み合わせ(リップの胡蝶蘭に合わせるのもおすすめ)が適しています。
発表会・個展祝い
出演者やアーティストのイメージカラー、作品のテーマカラーに合わせると喜ばれます。
一般的には、明るく華やかな色が定番です。
【注意】「赤色」ラッピングの考え方
上でも触れましたが、お祝いの定番色である「赤」を、「開店祝い」や「新築祝い」に使う際には注意が必要です。
赤い色が炎を連想させることから、新しい建物や事業のスタートに対して「火事を招く」として縁起が悪いと考える方もいます。特に木造建築や火を扱う業種(飲食店など)の場合は、配慮したほうがいいかもしれません。
ビジネスにおいては、「赤字(損失)」という言葉があるため、特に新規事業のスタート時に真っ赤なラッピングで贈ると、縁起を担ぐ方にとっては「赤字続き」を連想させてしまう可能性があります。
どこまで気にするべきか
これらの連想は、すべての方が気にするわけではありません。
アパレルや美容系、エンターテイメント系など、華やかさやビジュアルを重視する業界、あるいは現代的な感覚の経営者であれば、それほど気にしないことも多いでしょう。
しかし、伝統を重んじる企業や、縁起を非常に大切にする経営者・個人に対しては、念のため避けておいたほうが無難といえます。相手の業種、年齢、企業文化などを考慮し、心配な場合は販売店に相談してみるのもいいと思います。
赤のポジティブな側面と許容範囲
一方で、赤は本来、活力、情熱、魔除け、そしてお祝いの色として非常にポジティブな意味合いを持つ色でもあります。
例えば「紅白」は、日本では伝統的に祝い事や慶事に使われる縁起のいい色の組み合わせですが、ここにも赤は使われています。こういったことからもわかるように、「赤」を過剰に遠ざける必要はないでしょう。
もし赤を使いたい場合は、赤一色ではなく、白やゴールドと組み合わせる、リボンなどアクセントとして少量使うといった工夫をすることで、縁起への懸念を和らげつつ華やかさを出すことができます。
また、一般的な昇進祝いや記念日など、直接的に「新しい建物や事業の開始」と関わらないお祝いでは、赤いラッピングが問題視されることはほとんどありません。
お祝い用のリボンの選び方
リボンについてですが、販売店でラッピングの色を選ぶと、たいていの場合、店側でそれに合ったリボンを付けてくれます。ラッピングペーパーと同系色のものが使われることが多いです。同系色を使うことで、統一感のある上品な仕上がりになります。
自分で選ぶ場合も、基本はラッピングペーパーと同系色、と覚えておくと、迷わずに済むと思います。
ただし、まったく同じ色味ではなく、濃淡の変化でアクセントをつけるようにしましょう。ラッピングペーパーがピンクなら、リボンは濃いピンク、といった感じです。
同系色以外でよく使われるのがゴールドです。あらゆるお祝いに万能で、格調高い雰囲気を醸し出せます。
特に、赤いラッピングペーパーとの組み合わせは、非常に高級感のある見た目になるのでおすすめです。

高級感のある赤とゴールドの組み合わせ
また、異なる色、幅、素材のリボンを重ねて使うのも、より豪華で凝った印象を与えます。
例えば、太い無地のサテンリボンに、細いラメ入りのオーガンジーリボンを重ねるなど、組み合わせ次第で、より華やかなラッピングにすることができます。
リボンの結び方については、フレンチボウや重ねボウなどの、ボリューム感のあるスタイルがよく使われます。
リボンの色選びの注意点
リボンはラッピングペーパーと同系色が基本、と前述しましたが、ラッピングペーパーが白で、リボンもシンプルな白一色だと、全体が質素に見えすぎたり、場合によってはお供えのような印象を与えてしまう可能性もあります。
その場合、リボンを色の入ったものに変えたり、白いリボンを使うなら、ゴールドやシルバーの細いリボンと重ねたりするなど、お祝いらしさを出すようにしましょう。
また、前述のラッピングペーパーの色と同様に、「赤」に対して「火事」や「赤字」を連想する方も存在します。リボンは面積が小さいですが、もし相手が非常に縁起を重んじる方で心配な場合は、赤単色を避け、他の色と組み合わせるか、赤いリボンをやめて別の色を選ぶようにしましょう。
もっとも、赤色というのは一般的にお祝いでよく使われるめでたい色でもあるので、どこまで気にするかというのは相手次第になります。
お供え・お悔やみの胡蝶蘭ラッピング
お供えやお悔やみのラッピングは、故人への敬意とご遺族への弔意を静かに伝えるためのものです。派手さではなく、慎ましやかさを心がけましょう。
お供えに適したラッピングの色合い
- 紫、薄紫、淡いブルー
- 白、オフホワイト、グレー
お供えやお悔やみのシーンでは、上記の清楚で落ち着いた色合いが基本です。光沢が強すぎるものや、柄物は避けましょう。
この中では、特に紫と薄紫がよく使われます。迷ったら白い胡蝶蘭に紫系のラッピングにしておけば安心です。
お供え用リボンの選び方
リボンは、白か紫系のものが使われることが多いです。赤やピンクなどの明るい色は避けましょう。
リボンのサイズ(太さ)に関しては、細めで控えめなものでなければいけないわけではなく、お祝いと変わらないサイズのものも普通に使われています。
結び方は、一般的な弔事のマナーと同様に蝶結びは避けるべきといわれています。
リボンの見た目についてですが、あまりに派手なものでなければそこまで気にする必要はなく、多少ボリュームのある結び方でも問題ないでしょう。
まとめ
胡蝶蘭ギフトにおけるラッピングは、花を美しく見せるだけでなく、相手への気持ちを伝えるための大切な要素です。
お祝いのシーンでは華やかさを、お供えのシーンでは慎ましやかさを、そして状況によっては特別な配慮(赤色の扱いなど)を込めることで、贈り主の心遣いがより深く相手に届くはずです。