定年退職、転職、異動──お世話になった方の新たな門出となる退職・送別は、本人にとっても、送り出す側にとっても、人生の大切な節目です。
「これまでの感謝の気持ちを伝えたい」そんな想いを形にして届けたい時、フラワーギフトは最高のメッセンジャーになってくれます。
この記事では、退職や送別といった特別なシーンにふさわしいフラワーギフトの選び方について、押さえておきたい基本マナーから、予算の目安や花の種類、そして気持ちを伝えるメッセージカードの書き方まで、わかりやすく解説します。
ギフトスタイルの選び方(花束orアレンジメント)
退職・送別のお祝いは、職場の同僚やチームなどから贈られ、送別会などの場で直接手渡しするケースが多いのが特徴です。そのため、スタイル選びも重要なポイントになります。
花束(生花)
手渡した瞬間の華やかさでいうと、やはり花束/ブーケが一番です。退職祝いといったらこれ、という定番のスタイル。持ち帰った後、好きな花瓶に活け替える楽しみもあります。同じ予算ならアレンジメントよりボリュームが出やすいです。
デメリットとしては、花瓶がないと飾れないことと、持ち運び時に少し気を遣う点です。
フラワーアレンジメント(生花)
吸水スポンジに活けられているため、花瓶不要でそのまま飾れます。受け取った人の手間がかかりません。デザイン性が高く、さまざまな雰囲気を演出しやすいのも特徴です。
デメリットは、花束に比べて重くかさばる点です。
プリザーブドフラワー
水やりの必要がなく、長期間(1年以上)美しさが持続します。退職祝いなど「記念品として長く残してほしい」という場合に最適です。
生花と比べると、高価でサイズも小さくなるのがデメリットです。また、生花のようなみずみずしさや香りはありません。
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予算の目安(個人・グループ別の相場)
退職・送別のお花を選ぶ際、特に気になるのが予算の目安ではないでしょうか。個人で贈るのか、職場の部署やチームなどグループで贈るのかによって、一般的な相場は変わってきます。あくまで目安ですが、参考にしてみてください。
個人で贈る場合の予算目安:3,000円~10,000円
関係性の近い同僚や後輩に: 3,000円~5,000円
相手との関係性にもよりますが、3,000円~5,000円程度でも気持ちの伝わる花束やアレンジメントを用意できます。ボリュームの出しやすい生花の花束がおすすめです。
お世話になった上司や先輩に: 5,000円~10,000円
より感謝の気持ちを込めて贈りたい場合は、5,000円~10,000円程度まで予算を上げると、見栄えのするギフトを選ぶことができます。
グループ・連名で贈る場合の予算目安:10,000円~30,000円
同僚やお世話になった上司・先輩に: 10,000円~15,000円
退職・送別祝いとして最も一般的なパターン。部署やチームのメンバーでお金を出し合うことが多いです(例:一人あたり1,000円~2,000円など)。
全体の予算としては、10,000円~15,000円が一般的な価格帯となります。この範囲であれば、セレモニーや送別会で手渡すのに十分なボリュームと華やかさのある花束やアレンジメントを選ぶことができます。
役員クラス・勤続年数の長い方に: 20,000円〜30,000円
贈る相手の役職(部長クラスなど)や勤続年数、会社や部署の慣例によっては、20,000円~30,000円程度の、より豪華なフラワーギフトを贈るケースも。
この場合、花の予算を半分程度に抑え、別のプレゼントとあわせて贈るパターンもあります。
予算に関するポイント
予算が高いほどボリュームのある華やかなものになりますが、一般的に、同じ予算なら花束の方がボリュームを出しやすいです。アレンジメントは器や吸水スポンジの分、少しコストがかかります。
花屋さんに予算を明確に伝えれば、フローリストがその範囲内で最適なボリュームや内容を提案してくれます。遠慮なく相談してみましょう。
花選びで考慮したい4つのポイント

職場で贈る場合は、部署やチーム内で予算を決めてから花屋さんに相談するとスムーズです。前述した一般的な退職祝いの花の相場なども参考にしつつ、人数や関係性に応じて決めましょう。予算を伝えれば、その範囲内で最適な提案をしてくれます。
受け取る方の好みやイメージに合わせたフラワーギフト選びが大事です。好きな色や花がわかればベストですが、わからない場合は、普段の服装、持ち物の雰囲気、性格(明るい、穏やか、シックなど)を参考に選びましょう。「男性だからこの色」「女性だからこの色」と決めつけず、その人らしさを大切にするのが喜ばれるコツです。
長年お世話になった上司への敬意を込めて少し格調高い雰囲気に(例:紫色や胡蝶蘭を取り入れる)、同僚の転職祝いなら未来へのエールを込めて明るく希望に満ちた雰囲気に(例:濃いめの黄色やオレンジの花を取り入れる)、など、相手との関係性や退職・異動の理由に合わせて色合いや花の種類を選ぶと、より気持ちが伝わります。
セレモニーや送別会で手渡しする場合、あまりに大きすぎるものは持ち帰るのが大変です。見た目の華やかさも重要ですが、手提げ袋に入るサイズを目安にしたり、相手の帰宅手段(電車か車かなど)を考慮しましょう。事前にお花が入るサイズの袋を花屋さんに相談・用意しておくと安心です。
注意すべき色と花の種類
お祝いの気持ちを込めて贈るフラワーギフトですが、門出を祝う退職・送別のシーンにおいては、日本の慣習上、避けたほうが無難とされる色や花の種類があります。よかれと思って選んだものが、意図せず相手に不快な思いをさせたり、失礼にあたったりしないよう、基本的なマナーとして確認しておきましょう。
避けたほうがいい花の色

日本でこの花と色の組み合わせは供花のイメージ
白一色、または白と薄紫の組み合わせは、お悔やみやお供え(仏事)を連想させる典型的な色です。別れのシーンとはいえ、新たな門出を祝う退職・送別のお祝いにはふさわしくないので避けるようにしましょう。
お供え感のない白一色のスタイリッシュなアレンジメントもありますが、そういったものを贈りたい場合は、そのアレンジメントの価値や意図を伝えた上で贈ることをおすすめします。
避けたほうがいい花の種類
キク(輪菊)
白や黄色の大輪の菊(輪菊)は、葬儀やお供えの代表的な花です。退職・送別のお祝いの贈り物には不向きです。洋風のカラフルなスプレーマムを、アレンジメントに少し加える程度であれば問題ありません。
赤いバラ
赤いバラは情熱的な愛情表現というイメージが強く、職場の関係には不適切といえます。とはいえこちらも、アレンジメントの中にいくつか使われているくらいなら大丈夫です。また、退職する方がバラ好きで、なおかつ赤に特別の思い入れがあることをまわりの人たちが理解している状況なら、赤いバラの花束という選択肢もアリだと思います。
香りが強すぎる花
ユリ、スイセン、フリージア、クチナシなどは香りが強い花の代表例です。オフィスや送別会場など、人が集まる場所や閉鎖的な空間で渡す場合、香りが充満する可能性もあるので、花の組み合わせに配慮するようにしましょう。
迷ったときにオススメの色と花

元気さみなぎるビタミンカラーの花束
基本的には、明るく前向きな気持ちになれる色合い(黄色、オレンジ、ピンクなど)や、門出を祝うポジティブな花言葉を持つ花を選ぶのがおすすめです。もし選ぶ際に不安な点があれば、注文時に花屋さんに「退職祝い(または送別用)です」と用途を明確に伝え、避けるべき花の種類や色がないか相談してみるのが最も確実です。
門出を祝うオススメの花と花言葉
- バラ(ピンク、オレンジなど): 花言葉「温かい心・上品」(ピンク)「信頼・絆」(オレンジ)。色によってさまざまなメッセージを託せるフラワーギフトの王道。
- ガーベラ: 花言葉「希望」「前向き」。ポジティブで明るい花の形が、新たなスタートを応援する気持ちに重なります。
- ヒマワリ: 花言葉「崇拝」「愛慕」「あなただけを見つめる」。太陽に向かって咲く姿が、輝かしい未来を象徴しているよう。
- スイートピー: 花言葉「門出」「優しい思い出」。まさに送別のシーンにふさわしい花言葉。春先の送別におすすめ。
- アルストロメリア: 花言葉「未来への憧れ」「持続」。花持ちがよく、長く楽しめるのも魅力。ユリの系統だがにおいは強くありません。
- トルコギキョウ: 花言葉「優美」「希望」「清々しい美しさ」。フリルのような花びらが上品で華やか。門出を祝うのにふさわしい花です。
- 胡蝶蘭: 花言葉「幸福が飛んでくる」。格調高く、お祝いムード満点。フォーマルな場にも適しています(鉢植えではなくアレンジメントがおすすめ)。

ヒマワリのブーケ
メッセージカードを添えよう
フラワーギフトに心のこもったメッセージが添えられていれば、その価値は何倍にもなります。
メッセージカードの文章は、以下の3つの要素で構成すると、簡潔で伝わりやすい内容になるのでおすすめです。
- 感謝の気持ち: 「〇年間、大変お世話になりました」「いつも温かいご指導ありがとうございました」
- 思い出のエピソード: 「〇〇のプロジェクトでは助けていただき感謝しています」「〇〇さんの笑顔にいつも癒やされていました」
- 未来へのエール: 「今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます」「新しい場所でも〇〇さんらしく輝いてください」「これからの時間、どうぞ楽しんでください」
まとめ
退職や異動をする方のために心を込めて選んだ花は、その場を華やかに彩るだけでなく、きっとすてきな思い出として相手の心に長く残るはずです。
この記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ最高のフラワーギフトを選んでください。そしてお世話になった方の新たな門出を祝いましょう。
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季節の花をふんだんに使ったアレンジメントや花束は、もらった方の心に残る特別な贈り物に。