数ある花の中でも、青い花はどこか神秘的な魅力を持っています。胡蝶蘭においても、青い胡蝶蘭は、その希少性や美しさから、特別なギフトやコレクションとして人気があります。
じつは、天然(自然品種)の胡蝶蘭は、バラと同じように鮮やかな青色を発現する遺伝子を持っていません。この「存在しないはずの色」が、現代の技術によって実現しました。
青い胡蝶蘭には、大きく分けて2つのタイプが存在します。
1つは、特殊な技術で白い胡蝶蘭を青く染め上げた「染色タイプ」。
もう1つは、長年の研究開発により、花自身が青い色素を作り出すことに成功した「遺伝子組換えされた青色品種(系統)」です。
この記事では、これら2つの青い胡蝶蘭の特徴と、選び方のポイントについて詳しく解説していきます。
鮮やかな青さの染色タイプ
現在、市場で青い胡蝶蘭として流通しているものの多くは、この染色タイプです。染色方法には主に2つのアプローチがあります。
1. 吸い上げ方式
ギフトとして流通する高品質な青い胡蝶蘭の多くは、この方法で作られています。
白い胡蝶蘭の根元から、青い染料を植物自身の力で吸い上げさせることで、花弁全体を自然に近い形で青く染め上げます。白い胡蝶蘭を内側から染めているので、中心部がやや濃い目になり、花脈に沿って色が入り、縁部分は白っぽくなります。染料を吸い上げるといっても切り花ではなく鉢植えなので、特殊な技術が必要です。
代表的な商品は「ブルーエレガンス」(Blue Elegance)。
ちなみにエレガンスはシリーズ商品で、他にも「イエローエレガンス」「パープルエレガンス」「ピンクエレガンス」「グリーンエレガンス」「オレンジエレガンス」「マリンエレガンス」といったカラーバリエーションが存在します。
2. 吹き付け方式
もう1つの方法は、花弁の表面に直接青い染料を吹き付けて着色するタイプです。「カラフル胡蝶蘭」という商品名で販売されています。表面的な着色なので、色味によってはやや人工的な感じが出ることもあります。
吸い上げ方式と同様に、カラーバリエーションが豊富です。
色の持続性
どちらの染色方法であっても、染料は一時的に花弁を染めているだけです。そのため、その株から次に咲く花は、元の胡蝶蘭の色(通常は白)に戻ります。 一度きりの特別な青色を楽しむものと理解しておく必要があります。
値段
どちらも大輪の3本立ちがだいたい30,000円〜となっています。
吸い上げ方式と吹き付け方式の値段を比べると、そこまで大きな差はありませんが、輪数の差などを入れると「吸い上げ方式 > 吹き付け方式」となっています。
メリット
メリットは、安定して鮮やかな青色が得られることと、大輪サイズのものがあるということです。
また、次に紹介する遺伝子組換えタイプに比べると、価格が安く、入手もしやすいです。
デメリット
デメリットは、次に咲く花は青くならないことと、染色のための技術料や手間が加わるため、通常の白い胡蝶蘭より高価になることです。
また、人工的な着色なので、本物(自然)を求める人には敬遠される可能性があります。
ちなみに、吹き付け方式の場合、つぼみを染めることはできないので、基本的にすべて開花した状態で染めることになります。そのため、ギフトで贈った場合、相手の手元に渡ってからの開花期間が短くなることがあります。ただし、満開に近い状態で相手に贈れるというのは、ある種のメリットともいえるので、そのあたりを考慮して選びましょう。
主な用途
開店祝いや周年祝いなど、インパクトのあるお祝いに向いています。企業のコーポレートカラーに合わせたギフトや、イベント、パーティーの装飾、サプライズプレゼントなどにも。
「一度きりの特別な青」として、その瞬間の美しさを楽しみたい場合におすすめです。
遺伝子組換えによる青色胡蝶蘭: ブルージーン
青い胡蝶蘭には、遺伝子組換えによって花自身が青色を発色するタイプのものもあります。
「Blue Gene(ブルージーン)」
2021年に国の承認を取得した、世界初の遺伝子組換えによる青色の胡蝶蘭が、石原産業株式会社が開発したBlue Gene(ブルージーン)です。ツユクサ(アオバナの原種)の青色遺伝子を導入することで、青い胡蝶蘭を実現しました。
研究開始から商品化までに17年かかったとのこと。2022年に「日本フラワー・オブ・ザ・イヤー(最優秀賞)」を受賞。
これが現在、「本物の青い胡蝶蘭」として知られている品種です。
作り方と特徴
遺伝子組換え技術により、胡蝶蘭が元々持っていなかった青色色素を花弁で合成できるようにしています。もちろん国の承認を得ており、国内の生物多様性への影響がないことは証明済みです。
その色合いは、染料による鮮やかなブルーとは異なり、より自然で深みのある青紫色をしています。光の加減や個体によっても、色の濃淡や色味に多少の幅が出ることがあります。
色の持続性
遺伝子レベルで青色を発現するため、次に咲く花も同様に青系の色になります。これが染色タイプとの最大の違いです。
値段
ブルージーンのミディサイズ1本立ちで15,000円程度です。3本立ちだと33,000円〜、5本立ちで55,000円〜が相場です。
メリット
植物自身が青色を作り出しているため、「本物の青」として持続的に楽しむことができます。現在のところ、青色の胡蝶蘭はこのブルージーンしかないので、希少価値があります。
デメリット
開発にコストと時間がかかっているため高価です。流通量も、白などの定番色と比べるとまだ限られており、入手が難しい場合があります。
大輪サイズはなく、流通しているのは小ぶりのミディサイズとなっています。
主な用途
希少性と「本物の青」という特別な価値を持っているブルージーンは、特別な記念日の贈り物に適しています。
希少な植物が好きな方や、新しいものへの関心が高い方へのギフトとしてもおすすめです。
染色タイプ vs 遺伝子組換えタイプ 徹底比較
特徴 | 染色タイプ | 遺伝子組換えタイプ (ブルージーン) |
---|---|---|
色の作り方 | 白い胡蝶蘭に特殊染料を吸わせる。または表面に吹き付ける | 青色遺伝子を導入し、花自身が青色を発色 |
色の印象 | 鮮やかなブルーが実現可能 | 青紫色 |
次に咲く花の色 | 元の色 (たいていの場合「白」) | 同じ青系の色 |
花のサイズ | 大輪・ミディ | ミディ |
入手しやすさ | 比較的入手しやすい | 流通量が少なく、入手が難しい場合がある |
値段 | 通常の胡蝶蘭+技術料で比較的高価 | 開発コスト・希少性から非常に高価(同サイズ比) |
おすすめのポイント | インパクトのある鮮やかな青を楽しみたい場合や、特定の色が必要な場合に | 持続する「本物の青」を鑑賞したい場合や、希少性を重視したい時に |
青い胡蝶蘭を選ぶ際のポイントと注意点
どちらのタイプの青い胡蝶蘭を選ぶにしても、以下の点を考慮しておきましょう。
情報の確認
購入時には、それが「染色」なのか「遺伝子組換え」なのかを必ず確認しましょう。通常、販売店では、この情報は明記されています。
染色の場合、「吸い上げ方式」か「吹き付け方式」かのチェックも忘れずに。
色のイメージ
遺伝子組換えタイプの場合、写真と実物の色が若干異なることがあります。「青」という言葉から連想する色合いは人それぞれなので、可能であれば実物を確認するか、詳細な商品説明を読むことをおすすめします。
染色タイプも、色合いに多少のばらつきが見られることがあります。吹き付け式の場合、色の乗り方や質感が吸い上げ式と異なります。
予算
両タイプとも通常の胡蝶蘭より高価ですが、特に遺伝子組換えタイプは高額になることを念頭に置きましょう(同じミディサイズでの比較)。
染色タイプの中でも、ラメなど手の込んだ加工がされているものは価格が高くなる場合があります。
お手入れ
基本的な育て方は通常の胡蝶蘭と変わりません。直射日光を避けた明るい室内に置いて、週に1回程度水やりをしましょう。
ただし、染色タイプの場合、次に咲く花が白くなることを理解しておく必要があります。
青い胡蝶蘭の花言葉「奇跡のめぐり逢い」
胡蝶蘭全体には「幸福が飛んでくる」という代表的な花言葉がありますが、特定の色や新しい品種には、その特徴や開発の背景にちなんだ花言葉が付けられることがあります。
青い胡蝶蘭には、ブルージーンを開発した石原産業によって「奇跡のめぐり逢い」という花言葉が付けられました。
この花言葉は、胡蝶蘭が元々持っていなかった青色遺伝子を、長年の研究の末、ツユクサ(栽培品種「アオバナ」)の中に見出し、両者を「めぐり逢わせる」ことで、不可能とされた青い胡蝶蘭を実現させた開発ストーリーに基づいています。
こうした背景から、青い胡蝶蘭を贈ることによって「素晴らしい出会いや出来事が訪れますように」という特別なメッセージを込めることができます。
青い胡蝶蘭の入手方法
HitoHana(ひとはな)
希少な遺伝子組換えの青い胡蝶蘭「ブルージーン」をお探しなら、信頼と実績のあるフラワーショップHitoHana(ひとはな)がおすすめです。栽培数が限られているブルージーンを、産地から新鮮な状態で直送。本数やラッピングも選べるので、贈る相手やシーンにぴったりの一鉢が見つかります。
胡蝶蘭専門店ギフトフラワー
胡蝶蘭専門店ギフトフラワーでは、吸い上げタイプの青い胡蝶蘭「ブルーエレガンス」を取り扱っています。青い胡蝶蘭の中でも特に鮮やかな青色を実現している「ブルーエレガンス」に関心のある方は、ぜひチェックしてみてください。
→ 胡蝶蘭専門店ギフトフラワーのブルーエレガンス特集ページはこちら
まとめ
青い胡蝶蘭は、その特別な存在感で人々を魅了します。
「染色タイプ」の鮮烈な青も、「遺伝子組換えタイプ」の自然な青も、それぞれに異なる魅力と価値があります。その特性を理解した上で、ぜひ最高の「青」を選んでください。